「酒は人ありき」磯蔵酒造の稲里純米大吟醸 日々是好日 | 家飲みデリバリー

「酒は人ありき」磯蔵酒造の稲里純米大吟醸 日々是好日

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「酒は人ありき」磯蔵酒造の稲里純米大吟醸 日々是好日
あおい 有紀

和酒コーディネーター・酒サムライ

あおい 有紀

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稲里純米大吟醸 日々是好日。

皆さん、家飲み楽しんでいますか?今回ご紹介する日本酒は、稲里純米大吟醸 日々是好日。稲里の醸造元、磯蔵酒造は創業明治元年、茨城県笠間市稲田にある酒蔵で「酒は人ありき」をモットーに、地元の水、米でライスィーな味わい(米らしい味わい)の酒造りを目指しています。

個性派当主が創り出すカオスなお祭!?

5代当主の磯貴太社長は、一度お会いしたらその魅力に引き込まれる、なかなかの個性派!普段はカウンターでお酒を飲むのが好き、とのことですが、他にも仲間とバンドを組み演奏したり、オートバイやヴィンテージカーに乗ったり、野営で焚火をしたりカヌーに乗ったり…、幅広い趣味をお持ちです。

5代当主の磯貴太社長

毎年開催されている蔵開き「ちょっ蔵新酒を祝う会」に参加したことがあるのですが、地元だけでなく東京からも大勢のファンが押し寄せ、昼間っからステージでは新宿二丁目の方々が歌謡ショーをしていたり、夜になるとミラーボールが回転していたり…。参加者はお酒も相当入り、なんともカオスなお祭り状態で、こんな蔵開き他で見たことない!!と度肝を抜かれたことも。それも人との縁、酒縁を大切にする磯社長の想いが詰まった形なんですよね。今年は残念ながらコロナ禍で中止となりましたが、ご興味ある方、来年はぜひ参加してみてください!

これぞ茨城!な、鑑評会出品酒!

ぜひ、様々な種類の稲里を飲んでいただきたいのですが、今回ご紹介する、稲里純米大吟醸 日々是好日は、特別な一本。今年の全国新酒鑑評会で見事入賞を果たしたお酒です。(今年は、コロナウイルスの影響で結審がなく、金賞の選定は無し)

笠間市産のひたち錦を40%まで磨き、茨城で開発された小川酵母を使用

このスペックを聞いて驚いたのが、笠間市産のひたち錦を40%まで磨き、茨城で開発された小川酵母を使用、そして純米大吟醸と、アルコール添加せずに出品。磯社長曰く「鑑評会で金賞を取りにいく為ではなく、始めに『目指す旨さ』ありきで、そこに向けてやれること、そして自分達がやりたいことは全てやろう…と決めました。水、米、酵母、造り、杜氏、蔵人…と、20年ぐらい前からトライ アンド エラーを繰り返し、その集大成として、杜氏と“そろそろ世に出してもいいかも”という話になり出品しました。」とのこと。

その鑑評会出品酒をひと夏じっくり寝かせ、9月22日、秋分の日に満を持して発売となりました。

日本民族のアイデンティティが伝わるような「日」をイメージしたラベル

ラベルデザインはNYにギャラリーを持つアーティスト、幸義明氏によるもので、日々是好日の「日」を字象文字で表現しています。「モノの良し悪しや、こだわり、とらわれ等を捨て茨城に生きるもの達が、日々ここで顔を突き合わせながら『ただひたすらありのままに酒を醸す』という、潔い、清々しい心構」を念頭に、日々是好日…何気ない日常こそ素晴らしい、というテーマと、トライバル…日本民族のアイデンティティが伝わるような「日」をイメージしています。いつもながら味わい深く格好いいラベルですよね…!

お酒を搾った時、杜氏さんと二人で、これはいい酒ができた!!と言っていただけに、正直「なぜ今年に限って全国新酒鑑評会の結審がないんだ…!」という想いだったそう。それだけの自信作ということで、期待が高まります!

長年に渡る試行錯誤を経た、集大成の味わいは…?!

お酒が届き、早速頂いてみました。色合いは薄く黄味がかっていて、グレープフルーツやすだちのような爽やかな柑橘系、梨、白い花のような香りと共に、ミルクや生クリームのようなニュアンスも感じられますね。

口に含むと、柔らかくとろりとしたテクスチャーで、つきたてのお餅のようなお米感がまあるく広がっていき…、中盤から後半にかけてじゅわっと酸味のボリュームが前面に押し出されて旨味の余韻が長く楽しめます。

半年寝かせただけあり、酸味と旨味がぐぐっと押しあがってくるような、メリハリがありつつも厚みのある味わいで、ジューシーな梨をかじったような感覚も。思わず「これは…美味しい!!」と一人で唸ってしまいました。

おススメの家飲みおつまみは

このお酒に合わせたい料理、色々と思い浮かんだのですが、3種類のおつまみを作ってみることに。まずは秋らしく、脂の乗った秋刀魚の塩麴煮ときのこ(しいたけ、えのき)、ししとうを炒めてかぼすをたっぷり搾ります。

秋の旬食材は香り高いものが多いのですが、日本酒と合わせることでしいたけや秋刀魚の香りがより引き立ち、秋刀魚の旨味が広がりますね!!お酒にある柑橘系の香りとかぼすが合わさることで、爽やかさが増して料理の輪郭がはっきりと浮かびます。この組み合わせ、ぜひ皆さんにも体験いただきたい!

次に、家の冷凍庫にあった餃子を焼いてみましたよ。黒酢と胡椒でいただきましたが、お酒とお酢の酸味が調和し、お肉の旨味が倍増!黒胡椒のピリリとしたアクセントが味わいを引き締めてくれて、何個でもいけてしまう!!

そして、きびなごを唐揚げ。オリーブオイルでカラッと揚げて、カレー粉をまぶしてみました。シンプルなおつまみですが、これがまた稲里に合うではないですか!カレー粉をまぶすことで、スパイスの香りがお酒ときびなごの繋ぎ役となり、きびなごの甘味が増しますね。それぞれ常温でいただきましたが、冷酒から燗酒まで、幅広く楽しめると思います。

他にも、冷酒なら上品なお出汁の効いた茄子の煮びたしや柿の白和え、常温なら焼き肉や魚の煮つけ、燗酒ならすき焼きや酢豚、味噌おでんなど、温度によって様々な料理に合わせられそう。懐深く、しっかり受け止めてくれる万能選手です。

米の品質や気候など、毎年、そして日々変わる様々な要素の中で、毎年変わらぬ「目指す旨さ」が造れたかどうか?を問いながら…、今年ももうすぐ酒造りが始まります。ぜひ、稲里の真価をこの一本から感じてみてくださいね。

https://test.ienomi.tokyo/column/nichinichikorekoujitu-20200923/

WRITERこの記事を書いた人

あおい 有紀

和酒コーディネーター・酒サムライ

あおい 有紀

フリーアナウンサーとしてテレビ、ラジオなど各媒体で活躍する一方、日本の食や和酒の魅力発信を積極的に行い、大切さ、楽しみ方を伝えている。フィールドワークを信条とし、全国の田んぼや酒蔵に300回以上足を運ぶ。酒蔵ツアー、日本文化×日本酒のコラボイベント、様々な国籍の料理×日本酒のペアリングディナーなどの企画・主催をはじめ、... もっとみる